行政書士事務所開業までの軌跡

行政書士事務所開業まで実務について勉強したことを記録しています。

技能実習制度と特定技能制度の違いが分かれば、特定技能の在留資格持つ外国人の雇用を勧める理由がわかる

2025年には団塊の世代の全てが75歳以上となり、日本は超高齢社会を迎えます。

・65歳以上の高齢者割合→日本人口の約3.3人に1人

・高齢者人口の20%が認知症患者

となり、介護する側の人材は38万人も不足することが予測されています。

そんな来たる2025年問題に向けて、国が打ち出している対策の一つが、

 

介護ロボット

介護のDX (デジタルトランスフォーメーション)化

外国人労働者

 

です。

今回は

外国人労働者

について注目して解説していきます。

 

介護ロボットや介護のDX化のことについて触れている記事は下記から

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

外国人労働者のことに関しては今回の記事は前回からの続きのものになります。

過去の記事が一本目の記事になりますので、ぜひ下記より最初からご覧になってください。

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

今回は特定技能の在留資格を持つ外国人の雇用をお勧めする理由を、技能実習制度と比較して解説いたします。

 

 

【前回のおさらい】介護現場で外国人労働者を雇用するためには?

介護現場にて外国人労働者に働いてもらうためには、下記のいずれかの在留資格を持つ外国人を雇用する必要があります。

  1. 「介護」の在留資格を持つ外国人
  2. 技能実習「介護」の在留資格を持つ外国人
  3. 特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人
  4. EPA」の在留資格を持つ外国人

そのうち、今まで外国人を雇用するには「技能実習」の在留資格を持つ外国人を受け入れることが一般的でした。

実はその「技能実習」には大きな問題があったのです。

技能実習在留資格の問題点

介護現場にかかわらず、技能実習制度にはいくつか大きな問題点が浮上してきたのです。

労働環境の悪化

技能実習生が働く環境が劣悪であるとの指摘があります。過重労働、低賃金、労働条件の改善が求められています。また、住居や生活環境においても不備があることが報告されており、転籍も不可のため、失踪もしばしば報告されています。

人権侵害の危険性

技能実習生は、劣悪な労働条件や適切な労働権を享受する機会が限られており、人権侵害のリスクが高まっています。適切なサポートや監視体制が整備されていないことが問題視されています。

スキルの習得と雇用の乖離

実習生が獲得するべきスキルと、実際の雇用先や業務内容との不一致が指摘されています。技能実習制度は日本での労働で学んだことを母国に持ち帰るための制度ですが、雇用先が技能の習得を優先していない可能性があります。

組織の不透明性と適正な管理の難しさ

技能実習制度の運営や管理が不透明であり、不正な実習先や違法行為が取り締まりにくい状況があります。これにより、実習生の保護や権利の確保が難しいとされています。

帰国後の雇用機会の制約

技能実習を終えた後、帰国した実習生が得たスキルを生かせる雇用機会が限定的であることが問題視されています。帰国後のサポートが不足しているとされています。

 

技能実習制度の問題点を改善し、誕生した特定技能制度

特定技能制度とは?

特定技能とは、2019年4月に創設された、人手不足が深刻とされる特定産業分野(12分野・14業種)において外国人労働者を受け入れるための在留資格です。

現在は特定技能1号と2号があり、2021年4月時点では殆どが特定技能1号取得者です。

技能実習制度と特定技能制度の違い

※重要 特定技能制度と技能実習制度は目的が違う

「特定技能」と「技能実習」は、制度の目的が大きく異なります。この違いは極めて重要です。これを理解することでイメージがしやすくなります。

技能実習」というと、近年の報道により「就労」の側面が強調されがちですが、本来は「国際貢献のための制度」として設立された在留資格です。この制度は、日本で習得した技能を学んだ者が母国に帰国し、その技術を地元で応用・伝授することを目的としています。

一方で、「特定技能」はまさに「就労」を主眼としています。この制度は、日本国内での人手不足を補うために設けられました。特定の分野で必要な技能を持つ外国人が、日本で働くための在留資格を取得できるようになっています。

就業可能な業務や業種の違い

特定技能は12分野(14職種)、技能実習は85職種(156作業)です。

技能実習は業務内容が非常に細かく分かれており、職種が多いほうが、いろいろできそうと思いそうですが実際は逆です。

細かく分かれているということは制限が多いということ、つまりできることが少ないということです。

一方で特定技能は技能実習に比べて、職種が大まかに分けられている分、単純労働を含む幅広い業務が可能なのです。

在留期間、転職可能かの違い

技能実習は、目的として日本で学んだ技術を母国に持ち帰るという制度のため、5年で帰国する必要がありました。そうなってくると雇い先としても教育に時間をかけてやっと戦力になってきたところで、帰国してしまうというデメリットもあります。また、転職も不可のため、労働環境が悪い雇い先だと、技能実習生が失踪するケースもしばしば見受けられました。

一方、特定技能は目的として労働力の確保として雇い入れるため、長い期間雇用することができます。また、転籍も可能なため、外国人労働者にとっても逃げ場があるということは一つの大きなメリットとなります。

 

技能実習と特定技能の違いまとめ

下表が比較まとめです。特定技能制度は雇う側にとっても外国人労働者にとっても、メリットのある制度となっているのです。

 

 

まとめ

技能実習制度と特定技能制度の違いは分かっていただけましたでしょうか?

この違いを分かっていただくと、特定技能制度の在留資格を持つ外国人の方を雇ったほうが会社側も、外国人の方もお互いによいことがわかっていただけると思います。

そして、技能実習制度で受け入れられた外国人の方も、途中で特定技能制度に切り替えることも可能です。