行政書士事務所開業までの軌跡

行政書士事務所開業まで実務について勉強したことを記録しています。

【外国人労働者の雇用を検討の場合は行政書士へ相談】申請取次行政書士が支援する外国人雇用の正確なプロセス

日本は言うまでもなく超高齢社会。

2025年には団塊の世代の全てが75歳以上となり、日本は超高齢社会を迎えます。

・65歳以上の高齢者割合→日本人口の約3.3人に1人

・高齢者人口の20%が認知症患者

となり、日本は深刻な労働不足に悩まされています。

そんな中、外国人の労働者を雇用する企業も増えてきました。そして、問題の多かった技能実習制度から、特定技能制度の拡充を受け、さらに外国人労働者を雇用する動きは加速しています。

本日はその外国人労働者を雇うために必要なことを解説していきます。

 

 

外国人労働者を雇用する流れ

外国人労働者を雇用する流れは

・日本国内に在留している外国人を採用するケース

・海外から来日する外国人を採用するケース

とに分かれます。

 

①日本国内在留外国人(日本国内に在留している外国人を採用するケース)

1.試験に合格又は技能実習2号を修了

  外国人が試験に合格し、または技能実習2号を修了します。

2.特定技能外国人と雇用契約を結ぶ。

  受け入れ企業は特定技能外国人と雇用契約を結びます。

3.登録支援機関と委託契約の締結

  受け入れ企業は登録支援機関と委託契約を締結します。

  一部の支援を第三者に委託する場合、基準を満たす必要があります。

4.特定技能外国人の支援計画を策定する。
  登録支援機関と協力して、特定技能外国人の支援計画を策定します。

5.在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ行う。
  雇用契約や支援計画を添えて、在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ提出します。

【主な添付資料】

  • 受入れ機関の概要
  • 特定技能雇用契約書の写し
  • 1号特定技能外国人支援計画
  • 日本語能力を証明する資料
  • 技能を証明する資料

原則は外国人本人による申請です。
地方局長に申請等取次者として承認を受けた場合、取次ぎが可能です。※後ほど詳しく解説

6.「特定技能1号」へ在留資格変更

7.就労開始
  地方出入国在留管理局から在留資格変更許可が下りれば、特定技能1号に在留資格が変更され、外国人は就労を開始できます。

 

②海外在住外国人(日本国内に在留している外国人を採用するケース)

1.技能実習2号を良好に修了
  帰国済みの外国人が技能実習2号を良好に修了した場合、帰国後に試験は免除されます。

2.特定技能外国人と雇用契約を結ぶ。
  受け入れ企業は特定技能外国人と雇用契約を結びます。

3.登録支援機関と委託契約の締結

  受け入れ企業は登録支援機関と委託契約を締結します。支援計画の一部を第三者に委託するか、全部を登録支援機関に委託することができます。委託を行う場合は、受入れ機関で支援体制の基準を満たす必要があります。

4.特定技能外国人の支援計画を策定する。
  登録支援機関と協力して、特定技能外国人の支援計画を策定します。

5.在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局へ行う。
  雇用契約や支援計画を添えて、在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局へ提出します。

【主な添付資料】

  • 受入れ機関の概要
  • 特定技能雇用契約書の写し
  • 1号特定技能外国人支援計画
  • 日本語能力を証明する資料
  • 技能を証明する資料 他

原則は外国人本人による申請です。
地方局長に申請等取次者として承認を受けた場合、取次ぎが可能です。※後ほど詳しく解説

6.在外公館に査証(ビザ)申請

  特定技能外国人は在外公館にて査証(ビザ)申請を行います。

7.査証(ビザ)受領

  査証(ビザ)が受領されたら、外国人は入国の準備を進めます。

8.入国

  査証を取得した特定技能外国人が日本に入国します。

9.就労開始
  入国後、特定技能外国人は雇用契約に基づき、所定の手続きを経て就労を開始します。

 

在留資格認定証明書交付申請は行政書士が代行申請が可能

上記5.在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局へ行う。というのは

行政書士が行える業務です。具体的に、主な業務内容としては以下が挙げられます。

  1. 在留資格認定証明書(短期滞在以外の目的で入国する外国人に交付される証明書)の交付申請
  2. 在留資格変更許可(現在の在留資格から別の在留資格に変更の許可を得ること)の申請
  3. 在留期間更新許可(現在の在留資格のまま国内滞在をするための更新許可を得ること)の申請

そして、行政書士の中でも入管業務ができるのは「申請取次行政書士」と決まっています。

申請取次行政書士とは

入管業務ができる「申請取次行政書士」とは、特定の条件下で外国人が自ら入管業務を行うのが難しい場合に、行政書士がその代理として申請業務を引き受け、取次ぎを行う仕組みを指します。これにはいくつかのポイントがあります。

まず、入管業務においては「本人出頭の原則」があり、通常は外国人本人が申請手続きを行わなければなりません。しかし、日本語の理解が難しい外国人や、まだ日本に滞在していない外国人が自ら手続きを行うのは困難です。また、申請のたびに入管に足を運ぶのは非常に手間がかかります。

このような課題に対処するために、申請取次制度が導入されています。これにより、「申請取次行政書士」が外国人の代理として入管業務を行い、本人の出頭を免除することが可能になります。

申請取次行政書士によるメリットとしては、言語の理解が難しい外国人や、まだ日本に滞在していない外国人が自ら手続きを行う必要がなくなります。

まとめ

超高齢社会における外国人労働者の雇用は複雑で、手続きが煩雑です。日本国内在留外国人や海外からの採用には様々なプロセスがあり、行政書士の専門知識が不可欠です。特に、「申請取次行政書士」の協力で手続きをスムーズに進め、外国人労働者にとっても頼りになります。雇用に関する詳細や法的な事項は専門家に相談し、円滑かつ正確な対応を得ることが重要です。外国人雇用に関する疑問や課題があれば、ぜひ専門家のサポートを受けてください。

 

新法民泊活用術:空き家活用と低リスクな投資戦略

新型コロナウイルスの影響で世界中が大きな変革を迎える中、観光業も例外ではありません。以前はホテルが手薄だった観光地で、民泊がその不足を補う一翼を担っていました。しかし、コロナ禍の影響により、多くの事業者が民泊から撤退し、その風景も一変しました。そんな中、アフターコロナを見据え、再び民泊に注目する投資家も増えています。

この背景を踏まえ、再び注目を集める民泊運営には、許可が必要なのはご存知でしょうか?アフターコロナの新しい時代において、民泊事業を展開するためには、正確な情報と適切な手続きが不可欠です。そこで、今回は民泊許可に関する手続きや条件について詳しく確認していくことにしましょう。

今回の記事は前回の記事の続きですので、下記のページから先にご覧下さい。

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

【前回のおさらい】民泊ビジネスを始めるなら新法民泊がお勧め

新法民泊は初期費用を抑え、空き家や空き部屋を有効活用。住居専用地域でも営業可能で地域社会への貢献も。手続きは届出だけなので参入のハードルが低く、金融機関の支援も受けやすい。将来の住居活用や集まりの場としても柔軟に利用可能。アフターコロナの新しい時代において、新法民泊での開業が魅力的です。

もう少し具体的にメリットを説明していきます。

 

新法民泊のメリット

初期費用の軽減

物件購入が不要なため、低い初期費用で事業を始められます。既存の空き家や未使用の部屋を活用しやすいのが大きな利点です。物件購入にかかる費用がない分、リスクも低減されます。

空き家の有効活用

相続や賃貸の難易度が高い空き家も、新法民泊なら柔軟に活用できます。これにより、空き家が経済的な利益を生むだけでなく、地域コミュニティにもプラスの影響を与えることが期待されます。

自己利用や仲間内活用

民泊施設は所有者自身やその家族が利用することも可能。また、仲間内での利用や合宿、イベント開催など、自由度が高まります。これにより、施設所有者自身が直接体験し、満足度向上や適切な管理が期待できます。

住居専用地域でも営業可能

 住居専用地域であっても、新法民泊は営業が可能。従来のホテルや旅館が難しい地域でも柔軟な営業展開が期待できます。これにより、地域全体の魅力向上や地域資源の有効活用が可能です。

新法民泊はこれらのメリットから、低リスクで始めやすく、柔軟な運営が可能な事業モデルと言えます。

 

新法民泊のデメリット

新法民泊には多くのメリットがありますが、注意が必要なポイントも存在します。

180日の年間営業上限

民泊新法では年間の営業上限が180日。高い稼働が期待される場合は、この制限に注意が必要。二毛作民泊としてマンスリー賃貸も検討し、柔軟な運営を心がけましょう。

条例による営業日数の上限

 各自治体が独自に制定した条例により、追加の営業制限が生じることがあります。特に長期休暇などの期間での制限に留意し、地域ごとの規則を確認しましょう。

マンション規約の確認

マンションの場合、民泊が規制されている場合があります。住んでいるマンションが民泊を認めていない場合、営業を行うことはできません。マンション規約も確認しておくことが大切です。

ランニングコストの考慮

民泊は営業継続中に様々なランニングコストが発生します。これにはローンの支払い、家賃、手数料、光熱費などが含まれます。これらのコストを事前にしっかり計画し、収支を把握することが大切です。

近隣住民とのトラブル防止

民泊は近隣住民とのトラブルが生じやすいものです。ゲストの行動や騒音に対処する仕組みを整え、近隣住民との円滑なコミュニケーションを心がけましょう。

これらの注意点を理解し、慎重に計画を進めることで、新法民泊での民泊投資をより成功させることができます。

民泊の始め方

自身で民泊を運営する方法や、他の選択肢について説明します。

自身で運営する

民泊オーナーとして自ら経営を行う方法は、スモールビジネスとしてワンオペで運営可能。全てを自分で行うことで、人件費を抑えつつ柔軟な経営が可能です。専業で経営するか、運営に十分な時間を確保できる方に適しています。

フランチャイズに加盟する

近年、民泊フランチャイズ展開する企業が増加。フランチャイズに加盟することで、適法性やクオリティが担保され、本部のブランド力を利用して集客できます。ワンランク上のサービスを提供したい方におすすめ。

運営を委任する

民泊代行会社に運営を委任する方法もあります。代行会社がサービス提供、清掃、施設管理などの業務を代行し、オーナーは運営料を支払います。運営のための時間が限られている方や、副業で始める方に適しています。

これらの方法はそれぞれメリットやデメリットがあります。自身のライフスタイルやビジョンに合った方法を選択し、成功するための戦略を検討することが重要です。

 

民泊の手続きの流れ

1.自治体の窓口で相談

保健所に行く前に、各自治体の旅館業法担当窓口で相談しましょう。所在地や建築基準法、消防法への適合状況などを確認し、必要な手続きを理解します。

2.手続きの種類を選択

三つの運営スタイルから一つを選び、許可申請を進めます。各スタイルによって手続きが異なるので、物件の購入前に規制を確認しましょう。

旅館業民泊: 各自治体で条件が異なるため、物件の所在地の条例に基づき、保健所で許可を受けることが必要です。

特区民泊: 旅館業法の適用を受けないため、各自治体に必要書類を提出します。

民泊新法の届出: オンラインでの申請が原則です。届出書を取得し、前日までに所在地の都道府県に提出します。

3.保健所の許可を受ける

保健所が構造設備の基準を検査し、各自治体の基準を満たしているか確認します。合格すれば許可が下ります。

4.民泊サイトに登録

高品質な写真を掲載し、複数のサイトを利用して情報発信します。ダブルブッキングに注意しながら、予約率や稼働率を向上させましょう。

慎重に手続きを進め、成功するための基盤を築きましょう。

まとめ

アフターコロナの新しい時代において再び注目を集める民泊運営。許可が必要な手続きや条件に注意し、新法民泊を活用することで低リスクな投資が可能です。新法民泊のメリットには初期費用軽減や空き家の有効活用があり、慎重に計画を進めることが成功の鍵。民泊運営の方法として、自身で運営するか、フランチャイズに加盟するか、運営を委任するか、それぞれのメリットを検討し、手続きの流れを追いながら柔軟な経営を目指しましょう。

【アフターコロナの旅行新潮流】手続き簡便な新法民泊で始める収益の道

新型コロナウイルスの影響で世界中が大きな変革を迎える中、観光業も例外ではありません。以前はホテルが手薄だった観光地で、民泊がその不足を補う一翼を担っていました。しかし、コロナ禍の影響により、多くの事業者が民泊から撤退し、その風景も一変しました。そんな中、アフターコロナを見据え、再び民泊に注目する投資家も増えています。

この背景を踏まえ、再び注目を集める民泊運営には、許可が必要なのはご存知でしょうか?アフターコロナの新しい時代において、民泊事業を展開するためには、正確な情報と適切な手続きが不可欠です。そこで、今回は民泊許可に関する手続きや条件について詳しく確認していくことにしましょう。

 

 

民泊とは?

民泊は、戸建てやマンションなどの共同住宅を宿泊施設として提供する形態を指し、これをビジネスとして展開することを一般的に「民泊ビジネス」と呼んでいます。民泊ビジネスでは、これらの住宅を観光客などに提供し、その宿泊料を得ることが主な収益源となります。

近年、民泊は仲介サイトの登場によって急速に発展し、特に海外からの観光客の需要が増加しています。これに伴い、宿泊施設と宿泊客を効果的に結ぶプラットフォームが整備され、利便性が向上しました。この変化が起こる中で、多くの投資家が民泊ビジネスに注目し、積極的に投資に着手しています。

民泊は単なる宿泊手段を提供するだけでなく、地元の文化や生活に触れることができる魅力があり、これが観光客の需要を促進しています。このような観点から見ると、民泊は新たな時代の宿泊施設として、ますます注目を浴びる存在となっています。

民泊とは?

2021年8月時点で、民泊を始めるための許可制度は3つ存在しています。これらの制度は、事業者の規模、地域、投資スタンスに応じて選択することが求められます。各制度にはそれぞれ異なる要件がありますので、これから具体的に各制度を見ていきましょう。

3種類の民泊許可制度

民泊新法(住宅宿泊事業法)による民泊 ※おススメ(後ほど詳しく説明)

年間営業日数が180日以内という制限があるものの、その開業のハードルが最も低く、参入が容易な形態です。住宅地での営業が可能であるという大きな特徴があります。

メリット

  • 届け出の簡易性: 届け出の形態であるため、他の法制度よりも手続きが簡便で迅速。
  • 比較的短期的な営業: 年間営業日数が180日までと柔軟な制約があり、比較的短期的な営業が可能。

デメリット

  • 年間営業日数の制約: 年間営業日数が180日までという制限があり、長期的な営業展開が難しい場合がある。
  • 自治体の制約: 一部自治体において床面積や営業制限があるため、地域による影響を受けやすい。
旅館業法による民泊(簡易宿所営業)

旅館業法に基づいて簡易宿所として営業される民泊の形態です。許可申請の要件が厳格で、住宅地での営業は難しいですが、営業日数に制限がなく、柔軟な営業が可能なのが特徴です。

メリット

  • 許可申請の信頼性: 法的な基盤が確立され、許可申請が通りやすい。
  • 広い床面積: 床面積の要件が比較的大きく、宿泊者にとって快適なスペースを提供できる。
  • 制限ない営業日数: 年間の営業日数に制限がなく、柔軟な営業が可能。

デメリット

  • 住宅地での制約: 住宅地での営業が難しく、特に都市部での展開が制約される可能性がある。
  • 許可取得までのハードル: 許可取得までの手続きが煩雑で、時間がかかることがある。
国家戦略特区法による民泊(特区民泊)

国家戦略特区に指定された地域でのみ行うことができる形態です。2泊3日以上という最低宿泊日数の制限はありますが、旅館業法による民泊よりも開業のハードルが低く、自由度の高い営業を行うことができます。

メリット

  • 認定申請の柔軟性: 特区内での認定が他の法制度よりも簡便で、開業のハードルが低い。
  • 比較的小規模な施設も可: 床面積の要件が旅館業法よりも緩和され、小規模な施設でも営業が可能。

デメリット

  • 最低滞在日数の制約: 最低滞在日数が2泊3日以上という要件があり、短期滞在を望む宿泊客に制限を与える可能性がある。
  • 一部自治体の制限: 一部自治体において床面積や営業制限があるため、地域による影響を受けやすい。
営業日数の制限とはどういうこと?

「営業日数に制限がある」とは、特定の期間内で事業を営むことができる日数が制約されていることを指します。例えば、年間営業日数が180日以内という場合、その特定の施設や事業は1年のうち180日までしか営業を行えないという制限があります。

このような制限は、特に観光地や住宅地域での民泊などに適用されることがあります。制限が設けられる理由として、住民の生活環境を保護し、事業が周辺環境に与える影響を抑制するため、あるいは地域社会のバランスを保つためなどが挙げられます。

例えば、営業日数の制限があることで、長期間にわたって同一の宿泊施設が連続して営業することを防ぎ、住民との調和を図ることが期待されます。このような制限があるため、事業者は営業日数を適切に管理する必要があります。

 

まとめ:民泊ビジネスを始めるなら新法民泊がお勧め

新法民泊は初期費用を抑え、空き家や空き部屋を有効活用。住居専用地域でも営業可能で地域社会への貢献も。手続きは届出だけなので参入のハードルが低く、金融機関の支援も受けやすい。将来の住居活用や集まりの場としても柔軟に利用可能。アフターコロナの新しい時代において、新法民泊での開業が魅力的です。

次回新法民泊についての詳細を解説していきたいと思いますので、お楽しみに。

「相続や贈与で手に入れた土地も注意!農地転用のすべて」

親族の方から、土地を贈与された。相続した。などの経験ありますか?その土地がのうちである場合、「農地転用」という手続きをしないといけないのはご存知でしょうか?

日本には日本の農業生産力を守るために農地法という法律が存在し、勝手に農地を売却したり、地目を変更したり、その土地に家を建てたりすることは違法です。違反した場合3年以下の懲役または300万以下の罰金に処せられることがあります。

ですので、土地を処分したい場合には、農地転用などの手続きを経る必要があるのです。
ただし、農地転用とひとことで言っても、フローや決まりが沢山あります。今回は農地転用について解説していきたいと思います。

 

 

農地転用をする場合の2つのパターン

① 農業委員会への「届け出」手続き

市街化区域内にある農地を転用する場合は、各市町村が指定する提出書類を用いて農業委員会に届け出を行う必要があります。毎月の提出締切日が設定されているため、締切日を確認しましょう。締切日を過ぎると、書類審査の開始が1か月遅れてしまいますので、転用が急務な場合は注意が必要です。通常、締切日から1週間~10日ほどで返答が届きます。

都道府県からの「許可」手続き

市街化区域では届出があれば許可は不要ですが、市街化調整区域は市街化を抑制する地域です。したがって、市街化調整区域内の農地を転用する場合は都道府県知事からの許可が必要です。許可申請は農業委員会を経由して都道府県に提出されます。この手続きには通常、締切日から1か月半ほどで返答があります。同様に、締切日や提出書類の確認を怠らず、スケジュールに余裕をもって進めることが重要です。

 

自分の農地転用をしようとしている土地が市街化区域か市街化調整区域化で手続きが変わりますので注意しましょう。

 

農地転用の種類(4条許可と5条許可)

権利者が農地を転用する「農地法4条」

農地法4条許可とは?

農家や所有者が自らの農地を転用する場合、これは「農地法4条」に基づく手続きとなります。

費用

届出・許可申請には直接の費用はかかりませんが、必要な書類の取得には手数料が発生します。専門的な書類が多いため、行政書士に依頼することが一般的です。依頼先によって異なりますが、届出の場合は約3万円~5万円程度、許可の場合は約6万円~8万円程度が一般的です。

必要書類と手続き方法

  • 申請書(4条)
  • 住民票
  • 登記簿謄本
  • 公図
  • 利用計画図(企業による)など

転用後に土地で事業を行う場合には、事業計画書や事業証明書(または法人登記簿謄本)も必要となります。目的や土地の大きさによって必要な書類が異なりますので、市役所などで詳細を確認しましょう。

無許可・未届で工事を進めた場合

無許可・未届のまま工事を進めると、契約は有効ですが、工事停止命令または原状復帰命令が下されます。このような事態を避けるためにも、正確かつ適切な手続きを行うことが重要です。

 

農地を転用するための権利設定行為「農地法5条」とは?

転用の目的で農地を売買する場合、「農地法5条」が関連します。具体的には、不動産会社がマンションの建築などの目的で農地を取得するケースが該当します。

費用

5条の場合も届出・許可申請には直接の費用は発生しませんが、必要な書類取得には手数料がかかります。行政書士に申請代行を依頼する場合、届出の際には約3万円~5万円程度、許可が必要な場合には約7万5千円~8万円程度が一般的です。申請書以外の書類は、4条と大差なく必要となります。

必要書類と手続き方法

  • 申請書(5条)
  • 住民票
  • 登記簿謄本
  • 公図
  • 利用計画図(企業による)など

転用後の事業用途や農地の広さによっては、添付書類が異なりますので、市役所などで確認が必要です。

無許可・未届で工事を進めた場合

無許可・未届での工事進行は契約が無効となり、工事停止命令または原状復帰命令が下されます。

農地転用に関する注意点

農地転用後の固定資産税

農地を転用すると、地目が「農地」から「宅地」に変更されるため、固定資産税の評価額が上昇します。固定資産税は1月1日時点での現況で基準が決められますので、転用の時期も検討が必要です。早めに手続きを進め、固定資産税の変更に備えましょう。

登記地目の変更

農地法の手続きが済んだ後、地目の変更手続きを行います。法務局が現地を訪問したり資料を調査するため、登記簿謄本などの資料が必要です。個人での手続きも可能ですが、専門書類の準備が必要であり、時間もかかるため、行政書士に依頼することをおすすめします。ただし、農地法の手続きは通常の不動産手続きとは異なるため、農地法手続きも得意とする行政書士を選ぶことが重要です。

 

まとめ

農地転用は手続きも含め、専門知識が必要なため、行政書士のサポートを受けることで正確かつ迅速な対応が可能です。行政書士の選定には慎重に取り組むようにしましょう。

飲食店のお酒販売で成功するために知っておきたい法的なポイント

飲食店営業に欠かせないもの。それはお酒の販売ではないでしょうか?おいしいお料理とおいしいお酒を求めて、お客様はお店にやってきます。飲食店を営業する側にとっても、酒類の販売は客単価をあげることができ、売り上げに貢献してくれます。また料理と比べて調理の必要がないため、手間と人件費を押さえることにより利益率も上げやすいというメリットがあります。

前回の記事では、飲食店でお酒を提供する場合、酒類販売業免許は不要という話をさせて頂きました。飲食店の場合、様々なケースで風営法許可や深夜酒類提供飲食店営業の届け出など必要な免許や許認可が変わってきます。

未開栓のボトルや樽などのお酒を販売するためには免許が必要であり、その免許にも種類があります。取得する免許によっては事業計画などの作成が必要だったりと様々な要件があります。

今回は、酒類販売業免許や酒類免許の取得要件について解説していきます。前回の記事からの続きとなるため、ぜひ下記からご覧ください。

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

 

【前回のおさらい】酒類販売業免許には2種類ある

酒類販売業免許は、その販売形態に応じて酒類小売業免許酒類卸売業免許」に区分されます。それぞれ対象となる事業や特徴が異なるため、飲食店を開業したい方や酒類の卸売業を始めたい方は違いを知っておきましょう。

酒類小売業

一般消費者や飲食店など向けにお酒を販売する酒屋やスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ネットショップなどは、酒類小売業に分類されます。

酒類卸売業

エンドユーザーでなく、酒類販売業者や酒類製造業者に対するお酒の卸売ビジネスは酒類卸売業と呼ばれ、問屋がこれに該当します。酒蔵・メーカーと小売店をつなぐのが酒類卸売業です。

 

酒屋を開業する流れ


1.仕入先の確保

販売免許を取得し、酒屋を開業するためには、まずお酒をどこから仕入れるかを明確にする必要があります。問屋や酒蔵との契約が開業の基盤となります。問屋から仕入れることで豊富な品揃えが期待できますが、酒蔵との契約を結ぶことで市場に出回らない特別なお酒を提供することも可能です。

2.販売計画と事業計画書

販売免許の取得に向けて、お酒の仕入価格や小売価格だけでなく、店舗運営にかかる家賃、光熱費、通信費、人件費、宣伝費などの経費も考慮し、事業計画書を準備します。これは免許取得の際に必要な書類となります。

3.販売場所の準備

酒屋の店舗においては、開業資金やコンセプトに合わせて店舗の立地、広さ、周辺環境などを選定します。試飲スペースを設ける場合は、保健所からの飲食店営業許可も取得する必要があります。ネットショップを検討する場合は、ウェブサイトの構築も進めます。

4.酒類販売業免許の取得

仕入れ先や事業計画、販売場所が確保できたら、次は酒類販売業免許の取得申請です。このプロセスについては後述します。

 

酒類の販売業免許取得要件

酒屋の開業においては、顧客やネットショップ向けの対面販売の場合、「一般酒類小売業免許」、ネットショップなどの場合は「通信販酒類小売業免許」の取得が必要です。この免許を取得するためには、以下の要件をクリアする必要があります。

免許取得の要件

人的要件(酒税法10条1号から8号): 過去に法的な違反処分や刑罰を受けたことがなく、一定期間経過していること。

場所的要件(酒税法10条9号): 販売場所が他の酒販店や製造場と異なり、特定の条件を満たしていること。

経営基礎要件(酒税法10条10号): 破産や税金の滞納、経営基盤が薄弱でないこと。

需給調整条件(酒税法10条11号): 販売する酒類の品目を守り、価格や品質を適正に保ち、需給の均衡を維持すること。

今回は抜粋して書いていますが、免許取得の要件は細かく定められているため、下記URLより確認ください。

免許申請の手引|国税庁

取得にかかる費用

免許1件につき、登録免許税として3万円が必要です。その他、必要な各種証明書を発行する手数料も必要になります。税務署で免許証を受け取る際、登録免許税の領収証書を提出します。

申請に必要な書類

一般酒類小売業免許と通信販酒類小売業免許では、申請に必要な書類が一部異なります。詳しくは下記URLから確認するようにしましょう。

免許申請の手引|国税庁

 

酒類を販売する際の留意点

酒屋などによる酒類の販売は、複数の法律による制約や義務が存在します。以下に、具体的な留意点を挙げておきましょう。

未成年者への販売禁止

法令: 未成年者飲酒禁止法
留意点: 満20歳未満への酒類販売は法律で禁止されています。販売時には年齢確認を行い、「20歳未満の者への販売は行いません」との表示が必要です。

仕入先・販売方法の遵守

法令: 酒税法酒類業組合法
留意点: 酒屋は酒類卸売業免許を持つ卸売業者または製造者からのみ仕入れが許可されます。通信販酒類小売業免許だけで一般酒類小売業免許を取得していない場合、店頭や他の酒類販売業者への販売はできません。

酒類販売管理者の選任

法令: 酒税法
留意点: 酒類小売業免許取得後、販売場ごとに「酒類販売管理者」を選任し、税務署に届け出る必要があります。この手続きを怠ると過料が科されます。

酒税法上の義務遵守

法令: 酒税法
留意点: 酒屋は酒類仕入れと販売の帳簿を作成し、毎年所轄の税務署へ酒類の品目別販売数量と年度末の在庫数量を申告する義務があります。帳簿は5年間保存されます。

特定商取引法の対応

法令: 特定商取引法
留意点:信販売で酒屋を開業する場合は、特定商取引法に基づく表記を掲載する必要があります。取引上のトラブル防止のため、法で明記された項目を表示します。

容器のリサイクル法の遵守

法令: 容器包装リサイクル法
留意点: 売上高7,000万円を超えるか、従業員の数が5人を超える場合、販売に使用するレジ袋や包装紙に再商品化の義務が生じます。容器リサイクル法の推進に意識を向ける必要があります。
これらの法令や留意点を遵守することで、合法かつ適切な形で酒類の販売を行うことができます。

 

まとめ

飲食店の開業を考えている方は、お酒の提供でお店の魅力を引き立てたいですよね。酒類販売業免許の取得には、一般酒類小売業免許や通信販酒類小売業免許があり、それぞれ一定の要件をクリアする必要があります。未成年者への販売禁止や法令遵守はもちろん、特定商取引法や容器包装リサイクル法への対応もお忘れなく。行政書士などの専門家の協力を得つつ、法令順守で素敵なお店をつくりましょう。

飲食店開業するときって酒類販売業免許不要ってホント?免許が必要なケースを解説

飲食店営業に欠かせないもの。それはお酒の販売ではないでしょうか?おいしいお料理とおいしいお酒を求めて、お客様はお店にやってきます。飲食店を営業する側にとっても、酒類の販売は客単価をあげることができ、売り上げに貢献してくれます。また料理と比べて調理の必要がないため、手間と人件費を押さえることにより利益率も上げやすいというメリットがあります。

そんなお酒の販売ですが、免許がいるかどうかご存知でしょうか?

これ実は場合によって異なるのです。飲食店を開業する際に、アルコール類を提供する場合において免許は特に必要ありません。

ただし、これは「食事としてお店で飲ませる」ケースに限ります。

さて今回はお酒の販売に関しての免許について解説していきます。

飲食店を開業しようと思っている方はぜひ下記の記事も併せてごらんください。

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

 

飲食店で酒を販売する場合に免許が必要な場合

先ほども触れましたが、飲食店でお酒を提供する場合、特に免許は必要ありません。ただし、下記のケースでは、免許が必要になりますので、注意してください。

ビンやボトルのアルコール類を販売する場合

ビンやボトルのアルコール類を販売するには、酒税法に基づき、お店の所在地の所轄税務署長から「酒類販売業免許」を受け取る必要があります。販売先や販売方法によって免許は細かく区分されていますが、「一般酒類小売業免許」があればすべてのアルコール類を販売することができます。

免許を取得せずにアルコールを販売すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。アルコールの販売を検討する際は、免許の取得が法的に求められることを忘れないようにしましょう。

飲食店でほかの要件で免許が必要な場合

深夜営業においてアルコール類を提供する場合

深夜のアルコール提供に関しては、バーや居酒屋などが深夜0時以降にアルコールを提供する場合、警察署に「深夜酒類提供飲食店営業」の届け出が必要です。

ただし、アルコール提供が主目的でないファミリーレストランやラーメン屋などの一般的な飲食店には必要ありません。深夜でもアルコールの提供が可能な場合もありますが、営業開始10日前までに必要な書類を揃えて申請する必要があります。

接客サービスを主体としたお店の場合

接客サービスが主体のお店(例: クラブやキャバクラ)の場合は、風俗営業許可」が必要となることがあります。ただし、原則として風俗営業と深夜酒類提供飲食店営業の許可は同時に取得することはできません。こういったキャバクラなどは大体12時には閉店になっているイメージありませんか?

営業形態によって必要な申請や免許が変わるため、事前に警察署に相談し、適切な手続きを確認することが重要です。

 

飲食店を開業する場合は、求める形態によってさまざまな免許が必要な場合がありますので、注意しましょう。

詳しくは下記のページでも解説しています。

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

結局どういうときに免許が必要なのか?

飲食店では、「メニューの一部」としてお酒を提供していることが一般的で、これには開栓済みのボトルや樽からの提供が含まれます。この場合、飲食店営業許可の範囲内で取り扱えます。

一方で、未開栓のボトルや樽をそのまま販売する場合は、「酒税法上の酒類小売業」となり、別途酒類販売業免許」が必要です。

言い換えれば、同じ店舗でもお酒を飲食メニューとして提供するか、小売り商品として販売するかによって、必要な免許が異なります。

 

酒類販売業免許には2種類ある

それでは、酒類販売業免許が必要な場合について詳しく見ていきましょう。

酒類販売業免許は、その販売形態に応じて酒類小売業免許酒類卸売業免許」に区分されます。それぞれ対象となる事業や特徴が異なるため、飲食店を開業したい方や酒類の卸売業を始めたい方は違いを知っておきましょう。

酒類小売業免許とは?

酒類小売業免許」は、一般消費者や飲食店等を対象とする販売の免許です。酒類小売業免許の種類は下記の2つに分かれます。

一般酒類小売業免許

【事業対象】店頭での販売を行う場合、例えば酒販店やコンビニなどが該当します。
【特徴】 有店舗または無店舗(オンライン販売)のいずれも可能で、全ての種類の酒類を小売りできることが特徴です。

信販酒類小売業免許

【事業対象】 インターネットやカタログなどを通じて酒類を販売する場合がこれに当たります。
【特徴】輸入酒に対する販売制限がなく、広範な地域の消費者に対して酒類を販売することが可能です。

 

酒類卸売業免許とは?

酒類卸売業免許」は、主に酒類の販売業者や製造者を対象とした卸売り販売を行うための免許です。以下に、異なる酒類卸売業の免許区分や特徴をまとめました。

洋酒卸売業免許

【事業対象】 ウイスキー、リキュール、ワイン、スピリッツ、発泡酒などを卸売りする場合が該当します。
【特徴】他の卸業者からも仕入れが可能であり、幅広い種類の洋酒を卸売りできることが特長です。

自己商標卸売業免許

【事業対象】自社開発のオリジナルブランド(商標や銘柄)の酒類を卸売りする場合がこれに当たります。
【特徴】自社商標以外の酒類の卸売りは許可されておらず、自社の独自商品に焦点を当てた販売が可能です。

酒類卸売業免許:

【事業対象】 すべての種類の酒類を卸売りする場合がこれに該当します。
【特徴】全ての酒類を卸売りできるが、免許取得のハードルが高い傾向があります。

ビール卸売業免許

【事業対象】ビールを卸売りする場合がこれに当たります。
【特徴】 ビールの卸売りは他の酒類に比べて免許取得のハードルが高いことが一般的です。

これらの免許は、事業者がどのような酒類を卸売りし、どの範囲で事業を展開するかによって異なります。また、免許を取得するには細かな事業計画の策定や申請手続きが必要であり、免許の種類によっては取得の難易度が異なることに留意する必要があります。

店頭販売酒類卸売業免許

自己の会員である酒類販売業者(住所及び氏名又は名称並びに酒類販売業者であることを免許通知書等により確認した上で、会員として登録し管理している酒類販売業者に限ります。)に対し店頭において酒類を直接引き渡し、当該酒類を会員が持ち帰る方法による酒類の卸売ができる免許

協同組合員間酒類卸売業免許

自己が加入する事業協同組合中小企業等協同組合法に基づくものに限ります。)の組合員に対する酒類の卸売ができる免許

自己商標酒類卸売業免許

自らが開発した商標又は銘柄の酒類の卸売ができる免許

特殊酒類卸売業免許

酒類製造者の特殊な事情に対応するために必要

酒類卸売業の免許を取得するためには事業計画の作成が必要?

事業計画書の作成においては、年間の販売数量、取り扱う酒類の品目、必要な人員数などを具体的に明示することが求められます。この要素を詳細に提出する必要がある背景には、いくつかの理由があります。

まず、数量や品目を提出する必要性は、都道府県ごとに設定されている免許可能な事業件数の上限があるためです。各事業者には、特定の地域において事業を展開する際に制限があり、これらの制限を超えないようにする必要があります。

また、事業を運営する上での利益の見込みを確認するためにも、数量や品目を詳細に記載します。これは、事業が持続可能であり、採算が合っているかどうかを把握するための重要な手段です。免許を取得する企業が市場で競争力を有し、十分な利益を上げることが期待できるかどうかを見極めるためには、これらの情報が必要です。

 

まとめ

酒類を販売するためには免許が必要な場合と不要な場合があるというのがわかっていただけたでしょうか?販売するための免許にも種類があり、免許によっては事業計画などの作成が必要だったりと様々な要件があります。その要件については次回の記事で解説したいと思います。