行政書士事務所開業までの軌跡

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飲食店開業するときって酒類販売業免許不要ってホント?免許が必要なケースを解説

飲食店営業に欠かせないもの。それはお酒の販売ではないでしょうか?おいしいお料理とおいしいお酒を求めて、お客様はお店にやってきます。飲食店を営業する側にとっても、酒類の販売は客単価をあげることができ、売り上げに貢献してくれます。また料理と比べて調理の必要がないため、手間と人件費を押さえることにより利益率も上げやすいというメリットがあります。

そんなお酒の販売ですが、免許がいるかどうかご存知でしょうか?

これ実は場合によって異なるのです。飲食店を開業する際に、アルコール類を提供する場合において免許は特に必要ありません。

ただし、これは「食事としてお店で飲ませる」ケースに限ります。

さて今回はお酒の販売に関しての免許について解説していきます。

飲食店を開業しようと思っている方はぜひ下記の記事も併せてごらんください。

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

 

飲食店で酒を販売する場合に免許が必要な場合

先ほども触れましたが、飲食店でお酒を提供する場合、特に免許は必要ありません。ただし、下記のケースでは、免許が必要になりますので、注意してください。

ビンやボトルのアルコール類を販売する場合

ビンやボトルのアルコール類を販売するには、酒税法に基づき、お店の所在地の所轄税務署長から「酒類販売業免許」を受け取る必要があります。販売先や販売方法によって免許は細かく区分されていますが、「一般酒類小売業免許」があればすべてのアルコール類を販売することができます。

免許を取得せずにアルコールを販売すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。アルコールの販売を検討する際は、免許の取得が法的に求められることを忘れないようにしましょう。

飲食店でほかの要件で免許が必要な場合

深夜営業においてアルコール類を提供する場合

深夜のアルコール提供に関しては、バーや居酒屋などが深夜0時以降にアルコールを提供する場合、警察署に「深夜酒類提供飲食店営業」の届け出が必要です。

ただし、アルコール提供が主目的でないファミリーレストランやラーメン屋などの一般的な飲食店には必要ありません。深夜でもアルコールの提供が可能な場合もありますが、営業開始10日前までに必要な書類を揃えて申請する必要があります。

接客サービスを主体としたお店の場合

接客サービスが主体のお店(例: クラブやキャバクラ)の場合は、風俗営業許可」が必要となることがあります。ただし、原則として風俗営業と深夜酒類提供飲食店営業の許可は同時に取得することはできません。こういったキャバクラなどは大体12時には閉店になっているイメージありませんか?

営業形態によって必要な申請や免許が変わるため、事前に警察署に相談し、適切な手続きを確認することが重要です。

 

飲食店を開業する場合は、求める形態によってさまざまな免許が必要な場合がありますので、注意しましょう。

詳しくは下記のページでも解説しています。

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

結局どういうときに免許が必要なのか?

飲食店では、「メニューの一部」としてお酒を提供していることが一般的で、これには開栓済みのボトルや樽からの提供が含まれます。この場合、飲食店営業許可の範囲内で取り扱えます。

一方で、未開栓のボトルや樽をそのまま販売する場合は、「酒税法上の酒類小売業」となり、別途酒類販売業免許」が必要です。

言い換えれば、同じ店舗でもお酒を飲食メニューとして提供するか、小売り商品として販売するかによって、必要な免許が異なります。

 

酒類販売業免許には2種類ある

それでは、酒類販売業免許が必要な場合について詳しく見ていきましょう。

酒類販売業免許は、その販売形態に応じて酒類小売業免許酒類卸売業免許」に区分されます。それぞれ対象となる事業や特徴が異なるため、飲食店を開業したい方や酒類の卸売業を始めたい方は違いを知っておきましょう。

酒類小売業免許とは?

酒類小売業免許」は、一般消費者や飲食店等を対象とする販売の免許です。酒類小売業免許の種類は下記の2つに分かれます。

一般酒類小売業免許

【事業対象】店頭での販売を行う場合、例えば酒販店やコンビニなどが該当します。
【特徴】 有店舗または無店舗(オンライン販売)のいずれも可能で、全ての種類の酒類を小売りできることが特徴です。

信販酒類小売業免許

【事業対象】 インターネットやカタログなどを通じて酒類を販売する場合がこれに当たります。
【特徴】輸入酒に対する販売制限がなく、広範な地域の消費者に対して酒類を販売することが可能です。

 

酒類卸売業免許とは?

酒類卸売業免許」は、主に酒類の販売業者や製造者を対象とした卸売り販売を行うための免許です。以下に、異なる酒類卸売業の免許区分や特徴をまとめました。

洋酒卸売業免許

【事業対象】 ウイスキー、リキュール、ワイン、スピリッツ、発泡酒などを卸売りする場合が該当します。
【特徴】他の卸業者からも仕入れが可能であり、幅広い種類の洋酒を卸売りできることが特長です。

自己商標卸売業免許

【事業対象】自社開発のオリジナルブランド(商標や銘柄)の酒類を卸売りする場合がこれに当たります。
【特徴】自社商標以外の酒類の卸売りは許可されておらず、自社の独自商品に焦点を当てた販売が可能です。

酒類卸売業免許:

【事業対象】 すべての種類の酒類を卸売りする場合がこれに該当します。
【特徴】全ての酒類を卸売りできるが、免許取得のハードルが高い傾向があります。

ビール卸売業免許

【事業対象】ビールを卸売りする場合がこれに当たります。
【特徴】 ビールの卸売りは他の酒類に比べて免許取得のハードルが高いことが一般的です。

これらの免許は、事業者がどのような酒類を卸売りし、どの範囲で事業を展開するかによって異なります。また、免許を取得するには細かな事業計画の策定や申請手続きが必要であり、免許の種類によっては取得の難易度が異なることに留意する必要があります。

店頭販売酒類卸売業免許

自己の会員である酒類販売業者(住所及び氏名又は名称並びに酒類販売業者であることを免許通知書等により確認した上で、会員として登録し管理している酒類販売業者に限ります。)に対し店頭において酒類を直接引き渡し、当該酒類を会員が持ち帰る方法による酒類の卸売ができる免許

協同組合員間酒類卸売業免許

自己が加入する事業協同組合中小企業等協同組合法に基づくものに限ります。)の組合員に対する酒類の卸売ができる免許

自己商標酒類卸売業免許

自らが開発した商標又は銘柄の酒類の卸売ができる免許

特殊酒類卸売業免許

酒類製造者の特殊な事情に対応するために必要

酒類卸売業の免許を取得するためには事業計画の作成が必要?

事業計画書の作成においては、年間の販売数量、取り扱う酒類の品目、必要な人員数などを具体的に明示することが求められます。この要素を詳細に提出する必要がある背景には、いくつかの理由があります。

まず、数量や品目を提出する必要性は、都道府県ごとに設定されている免許可能な事業件数の上限があるためです。各事業者には、特定の地域において事業を展開する際に制限があり、これらの制限を超えないようにする必要があります。

また、事業を運営する上での利益の見込みを確認するためにも、数量や品目を詳細に記載します。これは、事業が持続可能であり、採算が合っているかどうかを把握するための重要な手段です。免許を取得する企業が市場で競争力を有し、十分な利益を上げることが期待できるかどうかを見極めるためには、これらの情報が必要です。

 

まとめ

酒類を販売するためには免許が必要な場合と不要な場合があるというのがわかっていただけたでしょうか?販売するための免許にも種類があり、免許によっては事業計画などの作成が必要だったりと様々な要件があります。その要件については次回の記事で解説したいと思います。