行政書士事務所開業までの軌跡

行政書士事務所開業まで実務について勉強したことを記録しています。

運送業の開業に必要な要件を解説!車両・車庫・事務所要件編

物流・運送業界の「2024年問題」をご存知でしょうか?

働き方改革法案により、ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限される

ことで、一人当たりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなると

懸念されています。さらに、物流・運送業界の売上減少、トラックドライバーの収入の

減少なども考えられると言われています。

だからこそ、運送を行える人材は非常に重宝され、中には独立・開業を考える人も

少なくないでしょう。

運送業を開業するためには許認可が必要です。

・人

・営業所・休憩室

・駐車場

・車両

・資金

の5つの要件をクリアする必要があります。

今回は営業所・車両・資金の要件を解説していきます。

人の要件については過去の記事からチェックください。

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

営業所・休憩室の要件

都市計画法農地法建築基準法等の関係法令に違反しないこと

以下の区域では運送業の営業所として使用できません。

・市街化調整区域

・第一種低層住居専用地域

・第二種低層住居専用地域

・第一種中高層住居専用地域

・第二種中高層住居専用地域

営業所の使用権限があること

ちなみに事務所は自己所有でも賃貸物件でも問題ありませんが、

建物として認められる必要があります。

コンテナハウスを車庫の土地に置いて事務所とするのはNGです。

建物と認められないものは、原則的に事務所・休憩仮眠室として認められません。

営業所と車庫の距離

運送業に使用する営業所と車庫間は直線距離で10km以内

(地域により20km以内または5km以内)になければなりません。

休憩室の設置

運送業の許可を取るためには運転者の休憩・睡眠施設も設置する必要があります。

車庫もしくは営業所と併設する必要があります。

休憩施設のみの場合には、テーブル、イス、ソファーなどを設置すれば良いですが、

睡眠施設の場合には1人あたり2.5平方メートルの広さを確保する必要があります。

運送業の休憩のルール

・ドライバーが連続して運転できる時間は、最大4時間

・運転開始から4時間に一度車両を停めて30分以上の休憩を取らないといけない。

・トラックドライバーの拘束時間は1日13時間までです。

 (拘束時間とは、運転時間と休憩時間を合わせた時間)

・拘束時間をやむを得ず延長する場合は15時間が上限。

・14時間を超える業務はドライバー1人につき週2回まで

・特例として、宿泊を伴う場合は週2回を限度とし、最大16時間まで業務可能。

 

駐車場の要件

運送業に使用する営業所と車庫間は直線距離で10km以内

(地域により20km以内または5km以内)になければなりません。

・駐車場の出入口前の道路幅は、相互通行の場合で約5.5m~6m以上

(一方通行の場合で2.5m~3m以上)

・車両と車両、車両と車庫の間にそれぞれ50cm以上の隙間を確保

 

一般貨物の車庫として整備のため、車両制限令に抵触しないため、

上記の要件をクリアする必要があります。

車両の要件

運送業の許可を取得するためには、車検証の用途欄が「貨物」となっており、

自動車が最低5台必要です。

軽自動車や2輪車でなければ、自動車検査証(車検証)の用途が「貨物」に

なっていれば、大型のトラックでなくても構いません。

所有の仕方は、自己所有やリース、売買予約どれでも問題ありませんが、

それを証明するための書類が必要です。

 

まとめ

運送業の許可をクリアするのにもいろいろ要件があり、

前回解説した人員、事務所、車庫、車両など用意するものが非常に多くあります。

そして、そのほかにも高額な自己資金を用意する必要があります。

そのような資金の要件については次回解説したいと思います。