行政書士事務所開業までの軌跡

行政書士事務所開業まで実務について勉強したことを記録しています。

風営法許可の要件とは?~申請するためには非常に厳しく、複雑な要件があります。

飲食店を開業する場合、飲食店営業許可を取得する必要があります。

また、接待を伴う飲食店の場合は風営法の許可が必要です。

接待飲食等営業に当てはまるケースは様々で、大まかにいうと接待行為がある場合には

風営法許可が必要というものです。

・カウンター越しの接客だから、接待にならない

・従業員が客と一緒にダーツをするのは接待にならない

上記は大きな誤解です。

 

風俗営業」を無許可で行った場合には、風営法第49条第1号にて、

2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれを併科するとされており、

これらは知らなかったですむものではありません。

 

店側が主体となって個別に客を楽しませる行為が接待行為となりますので、

しっかりと要件を確認するようにしましょう。

風営法許可が必要なケースは過去の記事より↓

 

 

doi-gyoseishoshi.hatenablog.com

 

さて、今回は風営法許可について具体的に解説していきます。

 

風営法許可申請をするにあたって注意しておきたいこと

風俗営業の許可を得るためには、5つの許可要件を満たさなくてはなりません。

・人的欠格事由

・営業所の設備基準

・禁止地域

保全対象施設

・管理者

です。

​ここでは、風俗営業許可を得るためのこれらの5つの許可要件について

具体的に解説します。

 

人的欠格事由

申請者となる人が次のいずれかに該当する場合許可が得られません。

1.破産手続開始の決定を受けて復権を得ないもの
2.1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は無許可風俗営業、刑法等一定の法律に違反して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
3.集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者
4.アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
5.精神機能の障害により風俗営業の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
6.風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
7.法定代理人が前記1から6までに掲げる事項に該当するとき
8.法人の役員が前記1から6までに掲げる事項に該当するとき

 

要するに未成年者や破産者、犯罪歴がある方などは注意が必要です。

 

営業所の設備基準

主な基準としては以下の通りです。

・客室の床面積は和風の場合、1室9.5平方メートル以上、

 その他の場合は16.5平方メートル以上

・客室の内部が外部から容易に見通せないこと

・客室内部に見通しを妨げる設備を設けないこと

・善良の風俗、清浄な風俗環境を害するような写真、広告物、装飾等を設けないこと

・客室の出入口に施錠の設備を設けないこと

・営業所内の照度が5ルクス以下とならないようにすること

・騒音・振動が基準に収まるような構造・設備を有すること
 

例)・客室内に見通しを妨げるもの(高さが1m以上のもの)は置く事ができません。

  椅子や仕切りなどですが、カウンターも原則1m以上のものは認められません。

​  ・店内の照明に調光機能(スライダックス)がついている場合には、スイッチを

  取り替えるか、一定以下にならないような物理的な施工が必要となります。

 

禁止地域~用途地域を地域地区や確認しましょう。

風俗営業は、どこでもできるというわけではなく、営業できない場所というものが

あります。都市計画における用途地域というものが関連してきます。

このうち、1号営業(ホストクラブ、キャバクラなど)ができるのは以下のみです。

ちなみに4号(マージャン・パチンコ)や5号(ゲームセンター)は一定の条件を満たす

第2種住居地域及び準住居地域でも営業可能です。今回は省略します。

・近隣商業地域

・商業地域

準工業地域

・工業地域

・工業専用地域

※その他用途が指定されていない地域


繁華街であれば、大抵が商業地域に該当しますが、道路を挟んで住居地域

なっていたり、敷地が住居地域と商業地域にまたがってる場合には注意が必要です。

少しでも住居地域にかかっていれば許可は取れません。

 

保全対象施設~保全対象施設を確認しましょう

地域地区の確認です。

地域地区は以下のようなものがありますが、風俗営業の制限にかかっていないかを

調べる必要があります。

・特別用途地区

・高度地区

・高度利用地区

・高層住居誘導地区 

など、以下略
 

例えば、都道府県や市町村の条例により、特別用途地区の指定を受けた地域では、

風俗営業が禁止されている場合があります。

例えば、学校が多く「文教地区」に指定されている場所では、一切営業ができません。

 

また、風営法上、学校・保育園・図書館・児童福祉施設・病院などは

保全対象施設といい、お店から半径100m以内(距離は施設の種類や用途地域により

異なる)にある場合には、風俗営業店の営業はできません。

 

管理者~お店の責任者にも欠格事由があると許可が下りません。

風俗営業を行う営業所は管理者を置く必要があり、申請者と同様欠格事由があります。

​また、管理者は各営業所毎に必要ですので、他の風俗営業店と掛け持ちはできません。

 

まとめ

以上、風営法の申請は非常に細かい要件まで気にする必要があり、

初めて開業しようと考えている方では時間がかかったり、まちがったりと

注意が必要です。

行政書士などの専門家に相談してみるのも手段としてありだと思います。