行政書士事務所開業までの軌跡

行政書士事務所開業まで実務について勉強したことを記録しています。

建設業許可の申請 ~方法、申請要件編

 

建設業許可制度が必要な理由

適正な施工の確保と発注者保護という目的により設業許可制度が設計されています。

簡単にいうと、手抜き工事や倒産などで多くの方々に、

迷惑はかけさないようにするための制度になります。

 

建設業許可取得のメリット

建設業許可を取ることにより

・500万円以上の工事ができる

公共工事を入札できる

・信用力があがる

以上のメリットがあることから、仕事や業務の幅を広げることができます。

 

【申請フロー】建設業の許可を取得するために

(その1)許可の種類を決める

国土交通大臣許可

⇒ 二つ以上の都道府県に営業所がある場合。


・知事許可

⇒ 一つの都道府県に営業所がある場合。

※同一の都道府県に、複数の営業所がある場合は知事許可。

※建設工事自体は、営業所の所在地に関係なく他の都道府県でも行なえます。

 

(その2)許可の区分を決める

建設業許可は、「一般建設業」と「特定建設業」に区分されています。

一般建設業について

建設工事の発注者から直接工事を請け負う元請けとして営業する場合で、

発注者から請け負った一件の工事の全部又は一部を下請けに出す際の下請代金が

・4,500万円(建築一式工事の場合は 7,000万円)未満の場合

・下請けとしてだけ営業する場合

⇒ 一般建設業

・4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の場合は、

⇒ 特定建設業許可

 

(その3)建設業許可の種類を決める

建設業許可の対象業種は、次の29業種があります。

土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事

石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事

鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事

ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事

熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事

水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事

 

以上のうちから、どの建設業の許可が必要か選択し、申請します。

 

(その4)許可要件(申請可能か)を確認しましょう

建設業許可を取得するための要件

(その1) 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者

(その2) 営業所の専任技術者 

(その3) 誠実性

(その4) 財産的基礎等

(その5) 欠格要件に該当しない

 

(その1) 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者

許可を受けようとする建設業の業種に関して、

5年以上の取締役もしくは、個人事業主としての経験が必要です。

また、許可を受けようとする建設業の業種以外の建設業の業種に関して

6年以上の取締役もしくは個人事業主としての経験が必要です。

 

(その2) 営業所の専任技術者 

経営業務管理責任者の要件に次いで大事な要件です。

専任技術者の要件を満たすには、

・資格を持っていること(下記図注1補足参照)

・特別な学科を卒業していること

・10年以上の実務経験があること

のいずれかが必要です。

 

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/181293.pdf

※〔上図注1〕補足 

例えば下記の赤字で囲っている1級建設機器施工技士の資格を持っている者がいれば、

土木工事業

とび・土工・コンクリート工事

舗装工事    

は許可を受ける要件があるということです。

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/181293.pdf

福岡県HP

よくわかる建設業法(国土交通省九州地方整備局の資料) PDFファイル抜粋

 

どの資格を持っていると、どの業種の許可がとれるのか?

どの学科を卒業していれば、どの業種の許可がとれるのか?

10年の実務経験を証明するにはどうすればよいのか?

などを考える必要があるということです。

 

(その3) 誠実性

誠実性とは、請負契約に関し、不正または不誠実な行為をする

おそれがないことを言います。

法人の取締役、個人事業主、支配人・支店長・営業所長などに

「誠実性」が求められます。

 

(その4)財産的基礎

一般建設業許可を取得する場合

自己資本が500万円以上あること

・500万円以上の資金調達能力があること

のいずれかに該当する必要があります。

 

特定建設業許可を取得する場合

・欠損の額が資本金の20%を超えないこと

流動比率が75%以上であること

・資本金が2000万円以上であること

自己資本が4000万円以上であること

の4要件をすべて満たしている必要があります。

 

(その5) 欠格要件に該当しない

法人の役員、個人事業主本人、令3条に規定する使用人が

次のいずれかの要件に該当するとき(一部抜粋)

成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ない者

・不正の手段により許可を受けたことなどにより、その許可を取り消され、

 その取り消しの日から5年を経過しない者

・許可を取り消されるのを避けるため廃業の届出をした者で、その届出の日から

 5年を経過しない者

・建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害をおよぼしたとき、

 または危害をおよぼすおそれが大であるとき

(以下略)

 

今回の記事では省略しましたが、簡単に言うと、

悪人や建設業許可を利用し不正なことをした者、不正なことをしそうな者などには、

許可を与えることはできませんということです。

 

建設業許可が不要な工事

建設業許可が不要な工事についても記載しておきます。

・軽微な工事

・工事の完成を請負わない工事(自己建設など)

・建設工事にあたらない工事



軽微な工事

建築一式工事(総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事)

⇒ 請負金額が1500万円に満たない工事、又は延べ面積が150㎡に未満の木造住宅工事

※主要構造部が木造で、延べ床面積の2分の1以上を住居で使用するものに限ります。

建築一式工事以外

⇒ 工事1件の請負代金が税込み500万円未満の工事

【例外】 軽微な工事でも許可を取らないといけない工事

⇒ 浄化槽の工事・管理

⇒ 解体工事

⇒ 電気工事

 


工事の完成を請負わない工事

請負でない工事の場合、建設業許可は必要ありません。

例:)・自宅や自社の建物や工作物などを自ら工事する場合

   ・単に委託をうけ工事をする場合

 


建設工事にあたらない工事

剪定、除草、草刈り、伐採

道路・緑地・公園・ビル等の清掃や管理、建築物・工作物の養生や洗浄

施設・設備・機器等の保守点検、(電球等の)消耗部品の交換

調査、測量、設計

運搬、残土搬出、地質調査、埋蔵文化財発掘、観測や測定を目的とした掘削

 

まとめ

以上、建設業の許認可のことをまとめさせていただきました。

申請に関しては煩雑になるほか、要件などの確認も大変です。

非常に時間も取られてしまうことから、業務にも支障が出る可能性もあるため、

行政書士等の専門家に頼むことをお勧めします。