個人規模で介護施設を開業するために ~法人設立編
先日の記事でも書いた通り、介護施設を設立するために法人格が必要です。
そのために
非営利法人
・医療法人
営利法人
・株式会社
・合同会社
のいずれかを設立する必要があります。
社会福祉法人・医療法人設立の要件は厳しい。
社会福祉法人の設立は
・公益性の高い事業をし、急な撤退などが許されない。
⇒経営をしっかりできるかどうか判断され、条件がかなり厳しい。
例えば、施設を運営する場合は原則、土地の所有が必要。
貸与するにいても1000万円以上の資産を保有している必要がある。
特別養護老人ホーム等、例外はあるものの法人運営の安定化等のため、
賃借料の水準は、無料または極力低額が望ましく、
また、寄附金などで賃借料を長期的に支払うことができることが必要。
⇒要するにかなり要件が厳しい。
⇒個人単位で設立となると、相当な資金を有するものでない限り、厳しいと見える。
同様に医療法人も要件が厳しい
理事長は、原則として医師または歯科医師でなければなりません。
病院又は老人保健施設を開設する医療法人は、
その資産の総額の100分の20に相当する額以上の自己資本が必要。
まとめ
社会福祉法人、医療法人は要件が厳しく、
新規事業として個人で介護施設を経営したいという方には難しい。
⇒そうなってくると、介護施設を経営するために、
一般的に選ばれる方法として、
・株式会社の設立
・合同会社の設立
・NPO法人の設立
になるのではないでしょうか?
個人規模で法人を設立する
NPO法人(特定非営利活動法人)
特徴
・信用度が非常に高い ⇒ 介護事業と相性が良い。
・少ない資金で設立できる。⇒資本金不要
・税金の優遇あり ⇒ 原則非課税 ※収益事業により生じた所得に限り課税
・知事の認可を得て設立までに時間がかかる
・1人で始めることができない ⇒理事3人監事1名以上が必要
営利を目的としないこととは?
・活動によって生まれた利益を構成員(役員・社員)に分配することができない。
ex)売上UPしたから利益をボーナスに社員に還元! = NG
・解散時にはその財産を国や地方公共団体等に寄付する必要がある。
特定非営利活動にかかる事業以外の事業(その他の事業)で収益上げてもよい
・利益が生じたときは、本来の事業である特定非営利活動にかかる事業の為に
使用しなければなりません。
まとめ
・信用度も高く、社会福祉に貢献したいという方には向いている
・介護施設を設立し、利益を得て大金持ちになりたい!というには不向き
株式会社・合同会社
便宜上、比較しながらご説明します
費用面
株式会社
合計 約222,000円
定款用収入印紙代 40,000円(電子定款では不要)
定款の謄本手数料 約2,000円
定款の認証手数料 約30,000円~50,000円(資本金の額による)
登録免許税 150,000円 または 資本金額 × 0.7% どちらか高いほう
合同会社 合計 約100,000円〜
定款用収入印紙代 40,000円(電子定款では不要)
定款の謄本手数料 0円
定款の認証手数料 0円
登録免許税 60,000円 または 資本金額 × 0.7% どちらか高いほう
決算報告
決算公告とは、定時株主総会後にその年の決算書を公開すること
株式会社 義務あり。公告費用は60,000円程度
合同会社 義務なし。ただし決算書は作成が必要。
意思決定
株式会社 株主の総意により決定するため、
思い通りに経営方針を決めることができないことがある。
合同会社 自分の意志で決定できるため、思い通りに経営ができる
信用度 資金調達
株式会社 株式を買ってもらって資金集めができている
⇒ 出資してくれる人がいる ⇒ 認知度高い ⇒ 資金調達しやすい
合同会社 株式による資金調達ができない。一人で簡単に設立できる
⇒ 認知度低い ⇒ 資金調達しずらい
まとめ
株式会社を選ぶか、合同会社を選ぶかは自分の経営方針、将来のビジョンにより、
選択するべきです。メリット、デメリットをしっかりと比較したうえで、
自分にあう方の会社を設立しましょう。
最終まとめ
また、会社設立には、設立費用だけでなく運営に必要なさまざまな費用がかかります。
会社形態や業種によって必要な費用や手続きが異なるため、
事前に発生する可能性が高い費用は、入念に調べることが大切です。
またコストを抑えるのを目的として、専門家の力を借りる方法がおすすめです。